2003年11月号

  第2回  

 料理とは本当に、奥の深いものです。つくる人、材料や環境、その他様々な条件によってその味は無限にひろがって行きます。 そんな料理の中でもきわめて奥の深い食べ物“味噌汁”。日本人の多くの人の日条的なものでありながら、これほどバラエティに富んだ食べ物は世界中探しても、そうは見つかりません。

 だし、味噌、具それぞれの種類だけとっても、膨大な数です。それらをさらに、それぞれの好みで掛け合わせるのですから、まさに無限大の料理と言っても大げさではないでしょう。     

 そもそも“味噌”とはなんと面白く、素晴らしい食べ物なのでしょう。豊富な栄養源であり、保存食や香辛料、そして調味料としての役割。様々な性質を兼ね備えています。そして“だし”もまたたくさんの特性を兼ね備えた、日本が誇る食文化の一つといえます。かつお節の創始者は、紀州の甚太郎(江戸期延宝二年)といわれており、日本の食文化の高峰、大恩人です。昆布、煮干、焼き干し類、椎茸、かんぴょうなど色々なものが、多くの人々によって工夫を重ね今日に伝わってきています。

 日常では味噌とだしの配合を、試したり比べたりする機会は、そうありません。そこで今回ぼくらは、三種類のだしと、三種類の味噌を掛け合わせて、味噌汁を作ってみました。だしは1.いりこと昆布2.かつおと昆布3.だしの素(天然)、味噌は代表的な米、麦、豆の三種類。もちろん育ってきた環境や、好みによってその味わいは様々ですが、僕らの感想は次の通りです。

 1.のいりこだしは、どの味噌とも相性がよく、ほどよい風味で、他の素材の旨みを存分に引き出していた。なにか懐かしい味、ホッとする美味しさでした。僕らの中ではもっとも日常的な味だったようです。ちなみに一番好評だったのは米味噌でした。

 2.のかつおだしは、味噌汁に使うだしとしてはいい“だし”が出すぎて、かつおの風味が強すぎてしまったのがネックでしたが、それでもかつおの風味はすばらしく、とくに香りの強い麦味噌との相性がよく、口の中いっぱいに旨みがひろがる。 逆に豆味噌の評判がイマイチといった感じ、豆味噌に関しては全体にメンバーの中ではなじみが薄く、その独特の風味に最後までなじめないという人もいた。関東などではあわせて使うのが一般的。 

 3.のだしの素は口に入れた瞬間に、スーッと鼻に抜ける独特な香りと、飲んだ後に残る旨みというより“旨み成分”といった感じのもの。どれを飲んでも最初と最後にくる“それ”が、なんともいえないモヤモヤとしたものを、感じてしまう。程よくまとまるといった点では申し分はなかった。 

 やっぱり自分でひいた“だし”とゆうのは格別で、色々なモノの旨みを引き出し、調和して世界で一つだけの一杯を生み出してくれる、とても重要な仕事だと再認識しました。

 そしてまた“だし”や“味噌”を生み出した人、何百年という歳月をかけ膨大な試行錯誤を繰り返し、今に伝えて行った人々への感謝の気持ちも忘れてはならないでしょう。

 ぼくらが後世に伝えるべきことが、こんなに身近にあったことは、大きな発見であり、喜ばしき事だと思いました。

○グルッペレストランのお味噌汁の作り方を紹介します。

 まず、だしはいりこと昆布、菜食用に椎茸と昆布でとった二種類。いりこは臭みが出ないよう頭と、ワタを取り、腹を裂いてだしが出易くします。お水から火にかけ、ゆっくり弱火でだしをとります。とくに昆布はグラグラさせないこと、小さなアワが昆布についてきたぐらいで、取り出す。いりこは昆布より長めでよいが、煮すぎると臭みが出てしまうので注意してください。

 菜食用は、干椎茸と昆布を一晩水につけたものを使っている。もちろん家庭でやる場合はそこまで手がかけられませんから、弱火でゆっくり取れば良いです。

 実はその季節の野菜や、油揚げ、豆腐などがメインです。そしてなんと言っても、決め手は味噌!レストランでは“三州豆味噌”と“小野崎 麦味噌”を1:4の割合で合わせて使っています。合わせる事で、一つの味噌では出せない味、コク、香りがいっそう強くなり、味噌汁に深みが生まれます。

○ちょっと簡単一工夫で、美味しいお味噌汁を紹介。

 フライパンに、たっぷりの胡麻油を引ひき、輪切りにした茄子を焼く。それを食べたい分だけお椀に盛り、煮立ちばなの味噌汁を張るだけです。驚くほど簡単で、茄子のとろ〜っとした食感が食欲をそそります。焼くことで味噌汁を、濁すことなくきれいに仕上げます。

(三鷹店 峯岸)