2004年4月号

  八百屋みどりの お伝えしたくて

第1回

 いつもグルッペの野菜を選んでくださってありがとうございます。実は、4月から野菜の栽培方法の表示法が変わります。それに伴って、お客様へ改めてお約束したいことがありまして、第1回目のこのコーナーのテーマとさせていただきます。

 これまで、グルッペでは大きく三つに分けて、栽培法を表示してきました。

1. 認証団体から認定を受けた有機JAS農産物

2. 化学合成されていないもの、または自然界にあるもので病害虫からその作物を防除しているもの。もしくは人為的に全く防除をしていないもの→無農薬栽培農産物

3. 農薬の試用量が農協の決めた試用量の5割以下の、減農薬栽培農産物

 4月からは、農林水産省の特別栽培農産物に係わる表示ガイドラインにより、“無農薬栽培農産物”“減農薬栽培農産物”という表示が禁止されます。このガイドラインでは、“無農薬”というのは種の段階から無農薬(消毒をされていない)であることが原則となりました。この規定は今日の現実からしたら、とても厳しいものとなっています。

 昔は、農家さんが自分で種を取り、それを育て、またそこから種をとるという“自家採取”が行われていました。いわば人の一生を最後まで見て、その子供、孫の世代まで見つめていくことをやってきたのです。それによって、その土地土地にあった個性を持った野菜が生まれ、正しくその農家さんの子供のような、そこにしかない“在来種”が生まれたのです。

 しかし、大量生産大量消費の時代が訪れ、野菜はその個性より形がそろっていて、栽培が容易であり、収量が多いことに価値を置かれるようになりました。そして、それらのことを可能にする、人が作り出した“改良”品種F1種(一代で終わってしまう人口交配種)が全盛を迎えます。そのF1品種は種苗会社が握っており、その時点で消毒・殺菌・高温処理されているものが殆どです。

 ですから、4月からの表示ガイドラインでは、農家さんが種苗会社で種を買っている場合、その栽培期間中に直接農薬を使用していなくても、その種のほとんどが殺菌 ・消毒を受けている為に”無農薬”とはいえないことになります。

 グルッペはもちろん、自家採取を応援しています。しかしそれは、大変に手間と時間がかかるものです。時には、農家さんが自身の生活を犠牲にすることにもなるかもしれません。ですから、現状では農家の方皆さんにそれを求めていくことは、とても厳しいことに思えるのです。

 また、今回の表示ガイドラインによれば、“特別栽培農産物”と表示する為には、農家の方が作物を出荷する段階で、明記しなくてはいけないことがたくさんあります。場合によってはその作物ひとつひとつにそれをしなくてはなりません。それもまた、生産の現場を離れた規定のように思えるのです。

 また、平成13年には、“曖昧だった有機の定義をはっきりさせるため”有機 JAS法が制定されましたが、私達はこちらも日本の現状から離れていると考えます。国際的な食品規格をもとに作られているので、日本の風土にあっていないこと、またそれは、農家の方に資金的にも労力的にも、大変な負担を強いるためです。(そして、「有機JAS=無農薬」ではない ―30種類の化学合成農薬の使用が認められています― というわかりにくい側面ももっています。)

 日本の食料自給率が4割まで低下している今、最優先すべきことは、国内の農家を応援していくこと、農薬や化学肥料に頼らない、自然の循環の中にある農業を目指す方々の物を選び、そうすることによって生産者をサポートしていくことではないでしょうか。

 これからますます様々な表示や規制、認証システムがでてくるかもしれません。ですが、私達が大切にしたいことはもっと他にあるのです。

― グルッペが大切にしたいこと ―

1. その生産物が、農家の方の思いに溢れたものであること。人を、心底元気にしてくれるようなものであること。

2. それを選ぶことが地球の健康につながり、そこに生命の循環があること。

3. その生産物を選ぶことが、真っ当なことをやっている人が真っ当に評価される社会を取り戻すことにつながること。

 グルッペは、畑(生産現場)とお客様をつなぐ存在でありたいと思っています。農家の方達の取り組み、その生産物に対する思い、この大自然がおりなすドラマ、人知を超えた神秘を、その商品と共にお客様にお渡ししたい。お客様の声を産地に届け、作る人が作る喜びを感じられるような社会、人と物の、真の交流を取り戻していきたい。

 今回の表示法の改定に伴って、“現場を伝える”という役割を、再確認いたしました。人が頭で考え、決めた規定に翻弄されるのではなく、より一層シンプルに、これからも“本物”をお客様へお届けしたいと思っています。

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 店頭の表示に関しましては、生産者がその野菜や果物に、どんなふうに向き合ってきたか、防除にはどんな資材を使っているか、どんな栽培を目指しているかを中心に、生産者の個性が伝わるような表示を目指します。

 結果として、その作物がお客様の手元に渡った時に、単なる“大根”ではなく、個性をもった“大根”としてアピールし、食卓から畑、その生産者へとイメージが自ずと広がることがあれば、これほど嬉しいことはありません。

 今後ともわかりにくい点が沢山出てくるとは思いますが、どんどんご指摘頂けましたらとても嬉しく思います。グルッペは、お客様によって育てていただき、ここまでくることが出来ました。大変感謝しています。これからも、ご一緒に、本物を育て、創りあげていければ幸せです。

(荻窪本店 福田 翠)

※「八百屋みどりの お伝えしたくて」は、「フルーティー仙田の 果物まるかじり!」と隔月でお届けしてまいります。フルーティーファンの皆さん、ご心配なく!