2004年8月号
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| 7月11日、グルッペで働き始めて3ヶ月半、初めて産地見学に行った。場所は千葉の成田空港に隣接している島村農園だ。島村農園とグルッペとの付き合いは長いようで、店では“島村さんの野菜”と表示して販売している。働き始めて間もない私も、島村さんの野菜に対する、お客様の評判の良さを認識していたので、私自身、今回の見学は非常に楽しみにしていた。この農園は家族で経営しており、野菜と鶏卵を出荷している。今回はグルッペ荻窪本店のスタッフ4人でお邪魔させていただいた。 荻窪に6時半に集合し、グルッペ号でいざ出発。天気は梅雨明け前ながらも晴れてくれた。順調に2時間ほどで農園に到着。着いてすぐに、農作業を体験させていただくことになっていることを聞き、単なる見学としか考えていなかった我々は少々戸惑いながらも、雑草抜きをやらせていただくことになった。タオルや地下足袋を拝借し、身支度を済ませると、早速畑へ向かう。畑に立ってみて、まず、千葉だというのにその広大さに驚く。ネギの両脇にびっしりと生えた雑草を抜き始める。 カラカラに乾いた畑で30分ほど作業を続けると、もう汗びっしょり、そして土ぼこりまみれだ。太い根っこに手間取っていると、見かねた島村さんが効率の良い抜き方を教えてくれた。雑草抜きもロクにできない自分が情けない。高校生くらいまで時々祖母の小さな畑を手伝っていたのに、やはりプロの手さばきは違うなあ、なんて思いながら作業を進める。雑草は抜いてから半年ほどでまた同じ状態になってしまうという。今年の梅雨は雨が少なかったから、まだマシな方だそうだ。 草むしりばかりに時間をかけていられない、と島村さん。広大な土地を家族だけで雑草を抜く訳だから、正にイタチごっこである。 1時間半ほどかけて各々が大体50〜60メートルの畦を1列ほどやったであろうか。一旦休憩という事で家屋へ戻ると、直径約50センチほどの超大玉スイカをご馳走になった。スイカで腹がいっぱい…、小学校以来久々である。 一段落して作業再開。次も別のネギ畑との格闘だ。同じく50〜60メートルの畦を各々が進める。時々、頭上を通過していく飛行機が気になる。よく考えるとここは成田空港の隣りなのだ。滑走路の延長上、飛行機が離陸して間もない距離のところにあるので、気にならないわけがない。手に届きそうである。飛行機もデカイが騒音もとんでもなくデカイ。家族の人は未だにこの騒音には慣れないという。 ネギ畑の雑草抜きを終えると、お昼になっていった。昼飯をいただく前に、大まかに畑全体の案内をしていただいた。改めて土地の広大さに驚かされた。快晴という空の青さとも相俟って東北や北海道を連想させる開放感だ。そんな中を歩きながらお話をしていただいた。例えば、種を蒔く時期一つ取っても、ほんの数日ずれるだけで味が全く変わってきてしまうという。肥料に関しては化学肥料は全く使用せず、堆肥のみしか使わない。さまざまなこだわりと制約の中で作物をつくりあげていることがよくわかる。その中で、年間何十品目もの作物を有機農法で育てていることを考えると、島村さん一家の努力は、私などが想像できるようなものではない。 畑を見て戻ってくると昼飯の準備ができていた。揚げたての玉葱とナスの天ぷら、そしてそうめんを、刻んだモロヘイヤを入れた麺つゆでいただく。なんとも格別だ。トマトやズッキーニも最高だ。働いた後に、取れたての有機野菜を食べる。本来普通であろうことが最高の贅沢に感じられた瞬間だった。 島村さんから昼食時にお話を聞くことができた。その中で特に印象深かった話が二つ。 一つは、最近は自然農法を行う農家も増えてきているが、そんな中で、結局はそれを利益のためだけにやっているところも少なくない、ということである。そういった背景にはまだ健康ブームの名残があるのだろうか。この日ほんの少しでも作業をさせていただき、また、失礼かもしれないが島村さんの信念のようなものを少しでも感じ取ることができたこともあって、そのような農家には疑問を感じずにはいられない。 もう一つは、消費者には無い物ねだりが多く、生産者からすると旬の物を食べて欲しい、ということである。多くの野菜が年間を通して食べられることが当たり前となり、消費者のニーズにどれだけ応えられるかが利益に直結するようになってしまった 現在、旬の物を食べる喜びはもはや薄れつつある。季節を基準に生活している我々が、最も重要である食べ物において、その感覚を失ってしまったら、と考えると恐ろしささえ覚える。そんな今だからこそ、そのような感覚をもう一度見直したいものである。 加えて、生産者側からすると、バイヤーとより親密になることを望んでいる、ということもおっしゃっていた。 昼食後、自分たちで摘んだバジルの葉でバジルペーストを作らせていただき、あっという間に夕方。帰りには、取れたて野菜もたくさんお土産にいただいた。帰りの車は夢の中。みなさんごめんなさい。 今回産地見学に参加したことで、有機農法を長く続けていくには、本当に強い信念と根気がなければできないということを感じ、また、島村さんの家族みなさんが野菜を可愛がっていることがよくわかった。そして素直に、食べ物を粗末にはできないと改めて思った。 (荻窪本店 福森) |