2004年3月号
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| 冬の定番、おでんに蒟蒻は欠かせません。蒟蒻の田楽は私の好物です。蒟蒻の入った炊き込みご飯もおいしいものです。蒟蒻は普段の料理によく使われているものですが、その歴史や製法などについては無知で食べておりました。今回あきる野市の蒟蒻の工場を訪ねるまでは。 私共メンバーは蒟蒻のメーカーである一穂(いっすい) 池谷さんの工場兼お店に伺いました。水のきれいな秋川のすぐ傍に建つ蔵造りのお店で、奥多摩の山々に囲まれています。 そこで製造されている蒟蒻は、秋川のきれいな水と厳選された蒟蒻玉で作られているので、とても瑞々しくおいしいものです。蒟蒻芋の生産には年平均13℃くらいが適しているらしく、おもに北関東、群馬県や埼玉県、栃木県で作られていて、消費量としては群馬県が一位です。 池谷さんのお話と蒟蒻の資料によりますと、6世紀頃、仏教の伝来とともに中国より蒟蒻が伝わり、平安の時代に大衆に食べられるようになりました。原産地はインドシナ半島で、今でも東南アジアには蒟蒻芋の仲間が130種類ほどあるそうですが、マンナンと呼ばれる食物繊維がないので蒟蒻としては加工ができないそうです。食用としているのは日本と中国の一部の地域です。 このマンナンを多量に含む蒟蒻を摂取することによって腸が掃除され、美容にも成人病の予防にもつながるといわれています。(アルカリ食品です。)また、疲れた体にこんのつく食べ物─大根、蓮根、昆布、蒟蒻、ごんぼう(ごぼう)など─をとるとよいといわれています。呼吸気の病にも効果があるそうです。体内の毒素を取り除き、活力までいただける食べ物だったとはなんて素晴らしいのでしょう。 黒い板蒟蒻や白い白滝がポピュラーではありますが、刺身蒟蒻も最近人気があるようで、こちらの工場では柚子や青のり、パプリカの入ったものがおいてありました。歯触りがとても良く、お話を伺いながら試食に出していただいたものをぱくぱく食べてしまいました。その他にも口にとろけるような蒟蒻や蒟蒻のそばもあります。その製法は秘密のようでしたが、蒟蒻玉から蒟蒻をつくる行程は見せていただけました。
その昔、蒟蒻芋は一年で秋が旬でした。春に蒟蒻の赤ちゃんといわれる生子(きご)を植えて秋に収穫をすること3回、3年の年月を経て大きな蒟蒻芋になるそうで、秋の収穫とともに芋を洗ってかまどで蒸し、静かにつぶしながらついていきます。 その後、水を入れて足で踏み、灰汁を入れて練り込みます。それを大窯で煮て出来上がるのが昔の行程ですが、現在は機械によって行われております。 芋の生産者の方にとって三年を掛けやっと加工に適したものを収穫するとは、なんて大変なことでしょう。しかも適温に保ち芋が傷まないようにするための努力を考えたら大変な作業なのでは。 秋が旬であった蒟蒻が一年中出回るようになったのは1700年代まで遡り、水戸藩の中島藤衛門が蒟蒻玉を粉にする方法を考え出してからです。蒟蒻は日本人が大切に伝統を守り続けた古い歴史のある食べ物だったのでした。 黒い蒟蒻は外皮が含まれる以外に海藻が使用されています。それは粉になっているのは芋の中身の部分で、黒っぽさがあまり出ないからだそうです。白滝は白い中身の部分のみが使用されており、黒蒟蒻に比べてカルシウムが数倍高いそうです。イライラの解消と骨粗鬆症の改善に、しらたきは最適のようです。漂白をされた白さではないのでした。 もしも、蒟蒻芋を買ってきて生で食べたらどうなるのですかと尋ねたら、水で大きくふくれあがるので窒息するほど危ないとのことでした。また、芋自体に灰汁が多く苦いので食べにくいようです。 その灰汁を取り除く過程に灰汁が使われているのがなんとも不思議でした。灰汁が中和されることにより、あくをとり、そして蒟蒻が固まるのです。昔は草木灰が使われました。現在は水酸化カルシウムや炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)が使用されているそうです。これは帆立貝の殻をとって粉にしたもので、人体に害はないようです。 工場ではさらにしっかりと灰汁を取り除くために大きな長い桶、舟の中にいれて約30分〜一時間ほど湯がいて水にさらしておくそうです。白滝は穴がいくつも空いた型を通して長い糸になって出てきます。それも灰汁を抜いてから手で結わいてしまうそうです。 まだまだ寒い日が続きます。おでんがまた恋しくなってきてしまいました。こってりした甘さのあるゆず味噌をかけてこっそり食べたい。 私の蒟蒻 レポートはこれにて終了です。蒟蒻は手をかけなくてもおいしく手軽に栄養も摂取できますし、お値段もリーズナブルでうれしい限りです。これも蒟蒻を生産されるかたがたのたゆまぬ努力あってのことと感謝するばかりです。ご案内いただいた池谷さんにも深く感謝いたします。 (レストラン おおた) |