2003年8月号

 塩って何だろう?塩が無くては人間は生きられない?塩を甘くみてはいけない。日本人にとっても、縄文の昔から生活とともに存在した塩について考える。

 7月の初め、グルッペ全店でお休みをいただいて伊豆大島に行ってきました。伊豆大島といえば、椿に明日葉に三原山。それに自然海塩、海の精を作っている所。

 塩と言ってもいろいろな種類があります。もともと日本では岩塩が採れないので、海水から塩を作ってきました。海水に含まれている塩の成分が約3・5%。それ以外は水分。海水からその3・5%を取り出せば、それが塩と言うことになるのですが…。ここで問題なのが、何をもって塩と言うのかと言うこと。専売制の下、私たちが買うことができたものは、塩という名前の塩化ナトリウムでした。ところが、海の精でいうところの自然海塩には塩化ナトリウムの他に、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カリウムなどを微量ですが含まれています。ここがポイント。ただ海水から3・5%を取り出せば良いという訳ではないということです。

 それでは海の精がどのように作られるかみてみましょう。

1 海水を濃縮する(採鹹/さいかん)
 ネット式立体塩田という、木製のやぐらに網を張り巡らせたものに、汲み上げた海水を流し、太陽熱や風の自然エネルギーを利用して水分を蒸発させる。下まで落ちた海水はもう一度汲み上げて塩田の中に散水する。こうして海水を濃縮していく。濃縮した海水を鹹水(かんすい)、濃縮する作業を採鹹(さいかん)と言います。

2 濃縮した海水(鹹水)を煮つめる(煎熬/せんごう)
 濃縮した海水を釜で煮つめて塩の結晶を析出させる。海の精では直火でなく蒸気を使います。直火よりむらがなく品質的に安定したものができるそうです。それに直火だと燃料を大量に消費して、大気中の二酸化炭素を増やすことになってしまうとのこと。試行錯誤と工夫の結果なんでしょうね。ここで先ほどの塩の成分の話を再び。塩化ナトリウム以外のミネラル分はもちろん海水に含まれているのですが、そのまま単純に煮つめていくと、まず硫酸カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウムの順に段階に結晶していくそうです。これらのミネラル分を含ませながら結晶させることによって塩の品質が決まってきます。この作業を煎熬(せんごう)と言います。

3 にがりを取り出す(採塩)
 煮つめた塩汁を冷却して、にがり分を分離します。脱水機で塩をにがりに分けます。

4 包装
 できた塩を検品、包装します。この作業、衛生的な面から窓から覗き見状態だったけど、本当にひとつひとつ手作業だった。包装はできる限り空気を抜いた状態で、そうしないと塩に含まれるにがり分が空気中の水分と一緒になって水っぽくなってしまうんだとか。

 一方、旧日本専売公社の塩(つまり以前は、お国から買うことを許された唯一の塩だ)はイオン交換膜式で作られています(昭和46年に塩田を全廃。以降はイオン交換膜式)。これは海水中の塩化ナトリウムを電気的のみに取り出す方法で、その他のミネラル分が含まれないので塩化ナトリウムの純度が高いのが特徴。旧日本専売公社によると経済的(巨大な施設がいらない)、効率的(天候などに左右されない)とのこと。

 日本は海に囲まれた島で、その風土の中で文化を育んできました。海水のミネラルバランスが人間の体液がほとんど一緒だし、(海水の約1/4の濃度)、縄文時代末にはもう土器を使って塩をつくっていたらしいし、汚れを払うとか食用以外にも大切な役割があったり。食用に使うにしても、味付けとしてだけではなく、保存食をつくる、味噌や醤油などの調味料をつくる時にも使われる大切なものです。そんな大切なものを経済的な理由だけで(あえてこう言いきってしまおう)塩化ナトリウムにしていまった日本っていったい…。なんかとても大事なものが切り捨てられているんだなとおもいます。現在は専売制の時代に立ち上がった人たちのおかげで平成9年塩専売法が改正され(とりあえず)いろいろな塩が作られ、買えるようになりました。

 うーん、塩って大切なものなんだな。本当はもっともっといろんなことを感じたのですが、まだまだ自分の中で消化できてないみたいでゴメンナサイ。大島では他にも素敵な人たち出会えてまだまだ伝えきれないのですが…。塩の説明を熱心にしてくださいました、海の精の寺田さん本当にありがとうございました。

(吉祥寺店 澤田)

参考図書:「The Salt Book 塩の本」柴田書店