2002年夏号

その13   文:稲津恒巳
 いざこの有機農業の世界、自然食品の世界に足を踏み入れて全国のいろいろな生産者、製造者の方々とお会いして生産、製造現場の苦労のお話を聞くうち、いつもいつも感銘を受け感動させられたことがあったのです。
 その言葉を要約すると「おいしい食べ物を作るのに、安心安全は前提であり、わざわざ説明するべき事でない」と、「食べる人々のことを考え材料は厳選して真心をもって作っているだけです」と気負うことも、力むこともなく、淡々と語る生産者の方々の言葉にどんなに説得力があるかその生産物を味わえばすぐにわかることでした。
 日々の飾り気のない暮らしぶりや、その生産者の人柄、人格が正しくその商品に顕れているといっても良いでしょう。自己の生産物に対して限りない愛着と誇りを持っておられる姿に憧憬の念を強く感じさせてくれました。
 一例を挙げさせていただきますと、小野田製油所の小野田社長さん、小野崎糀店の小野崎社長さん、酢屋茂醸造所の酢屋社長さんを始めとして、多くの方々から熱い感動と、人生訓を学ばせていただきました。
 物品の販売を通して事業の拡大、利益の拡大のみを求めるだけでなく(もちろん経済的自立は大切なことですが)、そして自分一人が生き苦労しているのでなく、家族のみが生きていけばよいのでなく、共に生き、生かされている共生の思想(環境も含めて)こそ私達の世界には強く求められていると自覚するようになりました。

次回につづく