2003年12月号

「私は目撃者であり、これらの写真は私の証言です。私が記録した出来事は、忘れられてはならず、また、繰り返されてはならないのです。」

ジェームズ・ナクトウェイ

「戦場のフォトグラファー
ジェームス・ナクトウェイの世界」
制作・監督・編集 クリスチャン・フレイ

 戦争写真家、ジェームズ・ナクトウェイの人生を追った、ドキュメンタリーです。彼は過去20年間の戦争をすべて経験し、その現実と人々を写真に収めてきました。

 この映画を見て、彼が間近で写す戦争や貧困、飢餓のあまりの「リアリティー」に言葉を失う人も多いと思います。

 でもこの映画は、悲しく辛い現状をただ激写し、感情的に正義を訴える話ではないんです。

 冒頭の彼の言葉は、人々がこの写真を見て、何かを感じれば、世界の現状を少しずつ変えていくことができるはず、というナクトウェイの信念でもあり、彼は経験したことをすべて最良の形で写真にあらわそうと、日夜走り回っている。

 そんな写真のいくつかに表れる、希望の光のような光景が、見る人に「ふっ」と、人が本来わかちあえるはずの人間の悲しみや喜びの、なんともいえない感情を思い起こさせてくれるのです。

 とても目をそらしたくなる悲惨さに、好奇心ではなく思わず見入ってしまう、そんな写真の中の、苦しみに生きる人々から生きる励みさえもらえるのです。

 自分の信念をストイックに追求し、客観的に表現する。ナクトウェイは決して現実を見殺しにする冷たい写真家ではありません。それは、彼に悲しみ、苦しみを見せることを許す、写真の中の多くの表情が語っています。

 ナクトウエイの思想や言動、そして彼の写真への感動と敬意は、自分の生き方にいろいろな質問を投げかけてきます。だれもがあの写真の前で、嘘をつくことはできないでしょう。彼の写真を見たことがない人にもお勧めです。

 東京での通常上映は終了していますが、地方で現在上映中なのと、関東方面での特別上映が予定されているので(日時未定)、是非チェックして出かけてみてください!

公式サイトURL
 http://www.mediasuits.co.jp/senjo/

(荻窪本店 池田)