2003年11月号

「8時だョ!全員集合の作り方」

山田満郎 取材構成 加藤善彦 双葉社

 30年くらい前の話だけれども、土曜の夜8時というのがとても大切な、心待ちにした、神聖な時間だった。今から思えば怖いくらい素直だった当時の私は、画面に向かって「志村うしろ!」と叫び、加トちゃんに言われるまま歯磨いて、頭洗って、9時過ぎに寝てた。

 30年たったいま、迂闊だったと思うのは当時の私がいかりや長介を全く評価していなかったことである。本物のおばちゃんにしか見えないリアルで自然ないかりやかあちゃんが出てきてるのに「志村(加トちゃん)まだかなァ」なんて思ってた。いつも怒ってて顔も恐ろしいいかりやは鬱陶しく、「敵」とさえ思えたのに、いまは一番好き(2番目は荒井注)。この変化は年齢とともに漬物や茄子や牡蠣なんかを好きになるのと全く平行していた(いまだにハンバーグやカレーライスも大好きだが)。つまりオトナになったということだ。

 「子どもに見せたくない番組」にいつも挙げられてて、「大人になったらそう思うようになるのかなあ」なんて漠然と思ってたけど、(前述のように)大人になった私は全然そんなこと全く思ってない。どころかこの本を読んで「生(番組)だったんだぁ」「こんなにも手作りで…」と改めて胸を熱くしている。むしろ嫌がる子ども(いないけど)を張り倒してでも見せたいと思っている。

(荻窪本店 住澤)