2003年9月号

『リアル国家論

宮台真司 宮崎哲弥 網野善彦 姜尚中
辛淑玉 加納実紀代 藤井誠二 樹村みのり
斎藤貴男 太田昌国 沢田竜夫 梅沢正信

教育史科出版会

 経済的にも政治的にも、先行きの見えない不安が社会をおおっている日本。そんな状況や国家の有り様を、12人の著者たちがリアルに据えます。

 それぞれの問題意識のもとに、「日本国」「公と個」「歴史・伝統」のリアルを論じた、実効的な国家論・平和論が寄せられています。

 他の国と平和的に共存するために必要なものは?そのためにはどんな教育、どんな法整備が必要なのか?「文化」と「伝統」そして民族の「誇り」は異文化や異民族と共生する際にこそ再認識するものでは?そこに伴う民族・人間的な感情とは?「日本国」を歴史的にも地域的にも相対化することが最も大事なのでは?

 多面的に、幅広い意見が寄せられているのがこの本の特徴です。が、私は本著で批判されているサイドの書物とセットで読むことをおすすめします。双方の主義主張を自分なりに吟味する。そして自立した「個」としてこれらの問題について自分の頭で考えて欲しい。

 本著の中で歴史学者の網野善彦さんはこう言っています。
 「わかってないことについてわかったような顔を絶対にしないこと。(中略)わからないことはわからないこと、と言いながらやっていくのは、大変怖いことです。個人個人、自分を賭けてやらなければならないわけですからね。怖いけれども、その怖さをたくさんの人が持ちながら動き始めれば、世の中はかならず変わると思います。」

 私たちは、自分が問題意識を持った感じたことについて、知らないことと知らなければならないことを自覚した上で、改めて自分の考えを構築していくべきだと思います。

(インターネット店 河内)